メルスィ鍼灸治療院

\当院で行った実際の症例をご紹介/

ー運動器系ー

主訴
関節リウマチ 60代女性
治療
ある日突然肩関節に強い痛みと腫れが出現し、その後膝,手指,足首,足指と次々と関節の強い痛みに襲われた。医療機関で検査したところ関節リウマチと診断。セカンドオピニオンを受診するも同診断。処方されたリウマチの薬にどうしても抵抗があり服用することができず当院を来院されました。関節の痛みを10段階評価で10を想定できる最も強い痛みとして評価してもらったところ、想定できる痛みをはるかに超えているとのことで15/ 10と評価。痛みは常にあるわけではなく夜間に激痛が起こり目がさめ痛みで眠れなくなるとのことでした。痛みの頻度はほぼ毎晩。鍼灸は治療頻度と効果が比例する研究報告があり*1)週3〜4回ペースで通院いただき、ご自宅では毎日数回の灸をしていただきました。強い痛みが出る前には前兆があるとのことだったため、前兆があったときのツボと、そうではない時のツボを使いわけました。症状が夜間に強く出ていたことや関節リウマチは自身の免疫が自分の関節を攻撃してしまうことで起こるため、交感神経を優位にする周波数を用いた鍼通電療法を中心に治療を行いました。治療開始1ヶ月後には毎晩出ていた痛みが1週間〜10日に1回の頻度になりました。2ヶ月目には痛みが出た時の強度が15/10→7/10に軽減。3ヶ月目には痛みの出る頻度が2週に1度と減ったため、来院ペースを週2〜3回に変更。6ヶ月後には痛みが月1回程度、痛みの強度も3/10と軽減したため12ヶ月まで5日〜1週間ペースで来院いただきました。1年後には全く症状は現れなくなり、鍼灸はメンテナンス通院のため月2〜3回ペースで来院。現在発症から3年目、血液検査ではリウマチの評価は未だあるものの、痛みはその後も起こらず安定した症状が維持できています。追記:治療の効果はあくまでも個人差があります。
<治療内容>標治:1寸×3番にて陽池ー曲池に対し30Hz 間欠波で13分鍼通電療法を実施。本治:1寸1番にて足三里、太白、太衝、太渓、三陰交、肺兪、肝兪、脾兪、腎兪のいずれか1-2穴に置鍼
主訴
関節リウマチ 80代女性
治療
30年前に関節リウマチを発症。主な症状は左股関節から膝にかけての痛みと両肩の痛み。医療機関の受診ではいずれも関節リウマチが原因と診断され、当院に来院されました。日常生活で最も困っていることは肩が痛みで、腕を思うように挙げられず、可動域は右腕が60度、左腕は握り拳が1つ入るか入らなかいの45度程度でした。日常生活を1人で送ることが困難なため、ご家族のサポートの中での生活。患者様は肩の痛みにより腕を使わないことで肩周辺の筋力低下、また動かさないことで組織が固くなり、さらに動かしにくい状態になっていました。東洋医学的診断では肝虚、腎虚(肝臓や腎臓の疲弊とエネルギー不足)が顕著にありました。生活習慣では長年の服薬に加え毎晩の飲酒習慣や寝る直前まで何かしら食べているとのこと。鍼灸治療では肝と腎の気を補う治療と、肩周辺の硬まって血流低下の部位へ血流改善と筋力強化の鍼通電療法を実施。ご自宅でも肝と腎の気を補う灸を毎日行っていただき、毎晩摂取していたアルコールは断酒日を設けていただき、また寝る直前まで食事をされていた習慣を19:00以降は摂取されないよう生活習慣の改善をしていただきました。来院頻度は5日〜1週間ペース。通院のたびに肩の可動域は徐々に広がり、6回終了時には左右ともにご自身の力で180度あげることができるようになりました。左股関節から膝への痛み評価は、想定できる最も痛い状態を10とし、来院当初8/10。杖を使っても痛みで歩行することが苦痛とのこと。股関節から膝への治療も、肩と同様、硬まって血流低下している部位への血流改善と筋力強化の鍼通電療法を実施。4回目には痛みが半分の4/10に軽減し、6回目には「思うようにスタスタ歩くことはできないが、痛みはほとんど気にならない0-1/10」と症状は良い方向に向かいました。鍼灸治療はあくまでも治癒のきっかけを与えるだけであり、治すのは患者様ご自身の治癒力になります。よって日々の生活習慣や臓腑ケアの灸などが治癒力に大きく関与してきます。また一度に全ての症状に対し治療を行うことで治癒力が分散され効果が発揮されないこともあるため、左肩6回、右肩6回、左足6回と別日で計18回行っています。追記:治療の効果はあくまでも個人差があります。
<治療内容>標治:1寸×3番にて小円筋、大円筋、棘上筋、棘下筋、三角筋、大胸筋、縫工筋、大腿四頭筋、薄筋のいずれかの筋に対し、筋腹の硬結部に20Hzと2Hzのミックス波で10分鍼通電療法を実施。本治:1寸1番にて太衝、太渓に置鍼
主訴
腱鞘炎 70代女性
治療
左薬指第二関節から手掌にかけての痛みで医療機関を受診。ばね指と診断され手術を検討中のところ、当院に来院されました。患者様は長年手を使うお仕事をしており近年は趣味でも手指をよく使うとのことでした。日常では「痛みで雑巾が絞れず指の動きもぎこちなさを感じ手術を本気で考えている」とのこと。痛みは握る動作開始時に強く出て、10段階で10を最も辛い痛みと仮定し7/10。同じ動作を繰り返していると徐々に痛みがなくなるとのことでした。患者様は長年肝臓に対する服薬と胆嚢に無数のポリープがあり経過観察中。東洋医学では肝胆は筋、腱、靭帯などの働きをスムーズにする重要な臓腑と捉えます。鍼灸治療では肝胆の気を補うツボとその母となる腎の働きを良くするツボに鍼をし、ご自宅でも同ツボに毎日灸を行っていただきました。また痛みのある左薬指とそれに関係する通り道に鍼通電療法を実施。通院頻度は週2回のペース。3回目には指の動きがスムーズになり痛み評価は3/10。6回目には握る動作で起こっていた痛みは0/10と全くなくなり動き、痛みともに症状は改善されました。追記:治療の効果はあくまでも個人差があります。
<治療内容>標治:1寸×3番にてC8脊際からC8デルマトーム上手首付近までの硬結部に対し1Hzと2Hzの連続波にて神経と血流改善の周波数を用い13分鍼通電療法を実施。本治:1寸1番にて太衝、丘墟、太渓、復溜のいずれか1−2穴に置鍼
主訴
手指の痛みとしびれ 70代女性
治療
ある日突然、右の親指にしびれと痛みが起こりその痛みは二の腕から肩まで広がった。はじめ整骨院に2週間通院し、その後医療機関を受診し原因を調べるも不明。点滴治療に1ヶ月半通院後、当院を来院されました。しびれと痛み評価は、想定できる最もつらい状態を10とし、朝が最も症状が辛く、痛みが8/10、しびれが10/10。とくに湿気の多い時や雨の日は症状が強いとのこと。患者様は全身にむくみが強く現れていました。むくみは水の動きが低下した状態です。水は体内に停滞すると湿気を発生させ、経絡という気血水の通り道を閉塞させます。それによってしびれや痛みが生じていた状態でした。鍼灸治療では停滞した湿気を取り去り水の巡りを良くするツボと、しびれと痛みの起こっている親指から二の腕、肩の通る神経の通り道に対し、神経と血流改善の鍼通電療法を行いました。ご自宅では毎日体質改善のための灸を実施。上腕は冷えが強かったため貼るタイプのカイロを冷えの部位に貼っていただきました。通院頻度は週3回ペース。2週間後には痛みが8/10→4/10。毎日あったしびれは気にならない日が増えたがしびれがあるときは10/10。4週間後には痛み、しびれともに0/10になり、治療開始から1ヶ月(計12回)で完全に症状は出なくなりました。追記:治療の効果はあくまでも個人差があります。
<治療内容>標治:1寸×3番にてC6脊際からC6デルマトーム上の硬結部に対し1Hzと2Hzの連続波にて神経と血流改善の周波数を用い13分鍼通電療法を実施。本治:1寸1番にて太白、太衝、太渓、合谷のいずれか1穴に置鍼
主訴
足の痛み 70代女性
治療
右大腿部の異常なむくみと痛みが続いたため医療機関を受診したところ、静脈血栓症と診断。症状は歩き始め10mほどで足のだるさと痛み、むくみにより腫れぼったさで歩けなくなる、家の中では居間から寝室までの距離で辛くなるため出歩くことが好きだったのに痛みで外出できなくなったとのこと。ご本人の目標は「お友達と旅行に行けるようになりたい」とのことでした。患者様は上半身はふくよかで弾力があり温かいのに対し、下半身は非常に冷え、右大腿は浮腫が強くあり水を飲む習慣が全くないとのことでした。鍼灸治療では上半身と下半身の交流がとれるよう経絡を使った治療と、血をつくり出し水を巡らせる力を補うツボを中心に治療を行いました。まただるさと痛みのある大腿付け根から足首まで鍼を浅めに刺し皮膚刺激を与え、その部位に1mm程度の置き鍼をしました。ご自宅でもご家族の協力をいただき毎日こまめに灸を行っていただき症状からかなり多めの10箇所程度、腰背部から足にかけて広範囲で、それを1日2-3回実施していただきました。2回目の来院は1週間後。白湯をこまめに取り出したことと毎日こまめに灸ができていたこともあり足の筋肉は少し温かさと弾力が出てきました。ご自宅でのケアがだいぶ出来ていたこともあり3回目は2週間後に来院。医療機関での定期検査で「血栓が綺麗に無くなっていたの」との報告をいただきました。また痛みの改善にともない歩行距離が長くなり、買い物ができるようになりました。現在は月1回ペースで来院いただき6ヶ月が経過。念願の旅行にもいくことができました。追記:今回のケースのようにこまめに白湯を取ったとしても水を巡らせる力が不足していれば、体内は水浸しになりかえって冷えやむくみが悪化することもあります。また、やみくもに多数の灸をすればよいということでもありません。患者様に合わせた鍼灸治療と鍼灸師指導のもとの自宅ケアが急速な回復につながったのです。治療の効果はあくまでも個人差があります。
<治療内容>標治:1寸1番にて太陽膀胱経の膈兪、肝兪、脾兪、腎兪、大腸兪、胞肓、秩辺。少陽胆経は居髎から丘墟まで切皮程度の単刺。背部兪穴軟弱部位に6〜8箇所程度の台坐灸。本治:1寸1番にて陽陵泉、丘墟、足三里、豊隆、三陰交、陰陵泉、太渓のいずれか2穴に置鍼。
主訴
足の痛みとしびれ 40代男性
治療
6ヶ月前に腰の激痛で動くことが全くできず医療機関を受診。L4-5腰椎ヘルニアとの診断で即手術となった。術後、腰の痛みは激減したが、その後の左腰から臀部,大腿,下腿まで、ライン状に沿った痛みとしびれがあらたに出現、当院を来院されました。左腰から下腿外側へのライン状の痛みとしびれは10段階評価で10を最大の辛い状態と仮定し、5/10。患者様は往復2時間の車とバスを使った通勤に加え、中腰で重たい物をもった状態での作業が長時間続くお仕事をしており、腰へ負担のかかるお仕事内容でした。仕事内容を変えることは難しかったため、作業時の姿勢の改善とストレッチ指導、自宅での灸を毎日実施していただきました。鍼灸治療では筋、腱、骨を強化するツボと、腰のヘルニア部位への血流改善の鍼通電療法、下腿まで続く神経のラインに沿って神経の血流改善の鍼通電療法を行いました。治療頻度は週1ペースで通院。4回目には大腿と下腿の痛みとしびれは無くなり、痛みのエリアが腰から臀部までと狭くなりました。5回目にはしびれは完全に無くなり腰の痛みだけになり、6回目には腰の痛みはだるさに変わり、来院当初の痛みとしびれは無くなりました。追記:治療の効果はあくまでも個人差があります。
<治療内容>標治:1寸3番にてL4-L5脊際とL4-L5デルマトーム上の硬結部に対し1Hzと2Hzの連続波にて神経と血流改善の周波数を用い13分鍼通電療法を実施。本治:1寸1番にて陽陵泉、足三里、解渓、太衝、太渓のいずれか1-2穴に置鍼。膈兪、肝兪、脾兪、腎兪に台坐灸を施灸。
主訴
膝の痛み 80代女性
治療
左膝の痛みで医療機関を受診。変形性膝関節症と診断、定期的にヒアルロン酸注射に通院されていました。膝の痛みを10段階で10を最大の痛みとすると歩行開始時に7/10。患者様は左膝を屈伸すると痛みが出るため、左膝を伸ばした状態で歩行、痛いから歩くことが苦痛、とのことでした。左太ももの筋肉は全体的に痩せ細り棒状に固く、太ももの筋肉の弾力に大きな左右差がありました。膝のお皿の骨(膝蓋骨)には、太ももの筋肉が付着したり、かぶさったりしています。よって太ももの筋肉が硬くなり働きが低下することで膝の骨の動きも低下歩行時の痛みにつながります。鍼灸治療ではふとももの筋肉が働ける環境を作ることで膝の痛みの軽減を目的に施術を行いました4)。また膝痛と関係する足の甲のツボにも鍼をして5)鍼をしたところには印をつけ、そこにご自宅でご家族の協力のもと、朝晩灸を行っていただきました。1週間後に2回目の来院。痛みが少しやわらいだため歩きやすくなってきた3-4/10。3回目も1週間後に来院。「膝がこんなに曲がるようになった」と来院されるなり太ももを高く持ち上げた歩行をみせ、膝の痛みも全く出なかったとのこと0/10。4回目も1週間後に来院。痛みは出ず安定。ご本人の希望もあり5回目は2週間後に来院。すると1週間経過したころから少しずつ膝の動きが悪くなり、3日前から痛みがで始めた、とのこと。6回目は1週間に戻し来院。膝の痛みは0/10が維持できた。追記:患者様は痛みが出そうになるとすぐに灸を実施し、調子が良い状態を保っていたが1週間を過ぎた頃から灸が効かなくなってきた、とのこと。鍼灸治療は頻度とそれに伴う蓄積効果が治癒につながるため1)、痛みが良くなったからといってすぐに間隔をあけることで治療の頻度と蓄積効果が確かとなりました。また自宅での灸の効き目も1週間を過ぎて低下したことから灸のみでは効果の維持に限界があることが今回のケースでは明らかになりました。治療の効果はあくまでも個人差があります。
<治療内容>標治:1寸1番にて大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋の硬結部に対し置鍼。本治:1寸1番にて内庭、中三趾6)、太衝、太渓のいずれか1-2穴に置鍼。内膝眼、外膝眼、大腿硬結部にパイオネクス。膈兪、肝兪、脾兪、腎兪の軟弱部に台坐灸。
主訴
股関節の痛み 30代男性
治療
左股関節に激しい痛みが出現し医療機関を受診したところ股関節唇損傷と診断。股関節唇とは股関節の骨同士がぶつからないよう衝撃を吸収するクッションの役割を担う軟骨で、それが損傷し痛みが生じます。患者様は日常生活の寝返り、起き上がる、ズボンを履くなどの動作のたびに激痛で、歩行すらできなくなり仕事を2ヶ月間休職していたところに来院。1ヶ月後に内視鏡による股関節の手術を控えており、それまでに少しでも痛みが良くなれればとの思いで来られました。痛みの程度を10段階評価で10を最大の痛みとすると来院時の痛みは10/10。治療の頻度と効果は比例1)するため週3回ペースで通院いただきました。 患者様は体重は90kgを超え筋肉質。重たい体重による股関節への負担も大きく、何かに捕まらないと痛みにより歩行ができない状態。過度な痛みが2ヶ月間続いたことや睡眠もうまくとれていないことで、目の充血や手足の過剰な発汗、交感神経刺激が強くなっている様子でした。交感神経の興奮は身体の治癒力を低下させます。鍼灸治療では副交感神経を高めるツボに置鍼をし、強い痛みのある股関節周囲は鎮痛効果のある鍼通電療法を行いました。またご自宅でも治癒力を促進するツボに対しこまめに灸を行っていただきました。治療開始1週間経過で、夜間に痛みで起きることがなくなり睡眠がしっかり取れるようになる。2週間経過で股関節の痛みが5/10と半分に減ったことで(痛みのある股関節に体重を乗せることはできないためびっこではあるが)何もつかまらずに歩くことができるようになる。3週経過時は股関節の痛みが3/10になり、手術前の診察で病院に行ったところ手術を一旦見送ることになった。4週間経過したころには股関節の痛みは1-2/10になり通常の生活で痛みが気にならなったため仕事に復帰することができた。来院頻度も週1ペースになる。2ヶ月目は治療内容を痛み改善から股関節周辺の筋力強化を目的とした鍼通電療法に変更、すると痛みのある足でふんばれるようになる。その後の病院の診察で予定していた手術は完全に取りやめとなり、通院開始3ヶ月目には痛みが0/10になりました。追記:治療の効果はあくまでも個人差があります。
<治療内容>標治:1.6寸3番を用い股関節周辺L1-L2間とL4-L5間の脊際に血流改善を目的とし2Hzの連続波にて鍼通電療法。2寸5番にて股関節から臀部にかけて痛みの部位を取り囲むように鍼鎮痛効果2)を目的とし2Hz(βエンドルフィン,エンケファリン)100Hz(ダイノルフィン)のミックス波を用い15分鍼通電療法を実施。2ヶ月目〜1.6寸3番にて大腿四頭筋、大臀筋、中臀筋、大腿二頭筋に対し骨格筋を対象とした筋パルス3)30Hz間欠通電(強縮:高頻度通電)2㎐連続通電(単収縮:低頻度通電)にて15分鍼通電療法を実施。本治:1寸1番にて殷門、血海、陽陵泉、足三里、解渓、太衝、太渓のいずれか2穴に置鍼。
主訴
腰痛 70代男性
治療
建築作業員。日頃から腰をかがめての仕事が多く、長年腰痛に悩まされてきた。痛みの10段階評価で10を最大の痛みとすると、痛みは慢性的に3/10程度だが来院時は7/10。原因は「忙しい時期が続き疲労がたまった」とのことでした。患者様は腰の張りと痛みを訴えていましたが、実際は腰に張りはなく、背中に強い張りと、腰から臀部は筋肉に力がない状態でした。腰から背中にかけて筋肉はつながっているため、背中の張りが強いことで腰に負担がかかりやすくなります。鍼灸治療は背中の張りを取り、腰から臀部の力を補うよう施術しました。また治療を行なったツボに印をつけ、そこにご自宅で毎日灸を行っていただきました。今回のように痛みが長期間続いていると、鍼灸治療で筋肉の血流を良くしても身体は長期間記憶している状態に戻ろうと働くため、頻度と蓄積効果が重要となります。よって来院ペースは5日以内に6回来ていただきました。2回目いくらか楽になった5/10、3回目には痛みが半分くらいになった3/10、4回目は痛みはなくなり違和感が残る1/10。5回目には全く気にならなくなった0/10と順調に痛みは改善されました。以降0/10の状態を維持できています。追記:治療の効果はあくまでも個人差があります。
<治療内容>標治:1寸3番を用い肩から背部の硬結部に単刺。1.3寸3番にて腎兪、大腸兪、大臀筋、ハムストリングの軟弱部に置鍼。背部兪穴の軟弱部に台坐灸。本治:1寸1番にて太渓、太衝の1-2穴に置鍼。
主訴
坐骨神経痛 30代女性
治療
3人目の産後から腰痛が頻繁に起こるようになり、腰の痛みとともに右尻から膝裏付近に痛みとしびれが起こりはじめたため整骨院で2回治療を受けた後、当院を来院。痛みの10段階評価で10を最大の痛みとすると、来院時8-9/10。痛みとしびれで立ったままズボンが履けない、子供を抱っこしたまま立ちあがれないとのことでした。原因は「3人の子供に囲まれ身動きとれない状態での睡眠が続き腰が固まった」とのこと。診断では気血の不足と腎の気の不足が出ていました。お産では血と腎臓の気をたくさん消耗します。そして腰は「腎の府」ともいい腎臓の状態が反映されるところでもあるため、産後に腎のエネルギーを消耗し、その不足分を食事からのエネルギーで補いきれず今回の症状がでたと考え、鍼灸治療では腎のエネルギーを補充するツボと血を補うツボに鍼と灸を行い、そこに印をつけ、ご自宅でも毎日灸を実施していただきました。来院頻度は週2回ペース。2回目からはそのほか、痛みとしびれのある部位に直接刺鍼し神経と筋肉の血流改善の鍼通電療法を実施。3回目に来院された際は痛みと痺れは半分の4/10。4回目1-2/10で気にならなくなったがゼロではない。5回目には全く気にならなくなった0/10と順調に痛みは改善されました。効果の維持には痛みがなくなった状態での蓄積効果が大切です。その後は2週に1度のペースで3回来院し2ヶ月間痛みが全くない状態を確認することができました。追記:治療の効果はあくまでも個人差があります。
<診断>舌診:淡白舌、歯痕、胖大、脈診:沈虚脈、腎虚、腹診:小腹不仁<治療内容>標治:1寸6分3番を用いL4-5脊際、秩辺、承扶、殷門、委中、崑崙に刺鍼し、1Hzと2Hzの連続波にて鍼通電療法。背部胃の六つ灸、腎兪に台坐灸。本治:1寸1番にて太渓、尺沢、太衝、三陰交のいずれか1-2穴に置鍼。
主訴
五十肩 50代男性
治療
1ヶ月前、左肩関節に痛みが出たため整形外科を受診、1ヶ月間治療を行なったのちに当院に来院されました。患者様は「とにかく痛みをとってほしい」との訴え。痛みを10段階評価で10を最大の痛みとし、来院当初8/10。夜間も痛みで何度も目が覚め睡眠不足が続き、仕事内容も物を高い棚へ持ち上げる作業が多い内容だったため、仕事も思うようにできない状態とのことでした。体型は痩せ型、食事内容は朝は食べず昼はカップラーメンなどのレトルト食品が多く、夜は毎晩、晩酌をするためつまみ程度でした。身体は食べた物から作られ、身体の不具合を治す力も食べたものから得る食物の気を受け働きます。ご自宅では食事内容についての改善を具体的にお伝えし、鍼灸治療では気を補うツボに鍼をし、患者様の治す力を補いました。またそこに印をつけ、ご自宅でも毎日灸を実施していただきました。来院頻度は週2-3回ペース。2回目からは気を補うツボへの鍼のほか強い痛みに対し鎮痛作用のある鍼通電療法を実施。鍼通電療法1回実施後8/10の痛みが5/10、3回実施後2/10で夜間痛みで起きることは無くなった、6回実施後に痛みは0/10となりました。その後可動域改善に向けて6回治療を行い、日常生活で問題ない範囲にまで可動域は改善し合計12回の治療を行いました。
<治療内容>標治:鎮痛効果を目的とし1寸3番を用い肩関節周囲の痛みの起こっている筋,関節部に鎮痛効果のある2Hzの連続波にて鍼通電療法を13分。可動域改善を目的とし小円筋、棘上筋、棘下筋、三角筋、大胸筋に30Hzと2Hzのミックス波にて鍼通電療法を10分実施。本治:1寸1番にて足三里、公孫の2穴に置鍼。
主訴
五十肩 50代女性
治療
1年1ヶ月前に、左肩関節に痛みが出たため整形外科を受診、五十肩と診断され1年治療を実施後、当院を来院。左肩は全く動かず、脇の下に指がようやく入るか入らないかで脇の下を洗うことも、ずぼんを引き上げることもできず、夜間は痛みで何度も目が覚めてしまうため1年間不眠にも悩まされてきた。痛みを10段階評価で10を最大の痛みとし、来院当初10/10。患者様は手足の過剰な汗とのぼせやほてり症状もありました。東洋医学ではこれら症状と、肩関節に関わる筋、腱、靭帯などの機能を保つ働きは、共に肝臓の働きと考えます。鍼灸治療では肝に関係するツボに鍼と灸を行い、ご自宅でも毎日同じツボに灸を実施していただきました。来院頻度は週2-3回ペース。2回目からは肝を補うツボのほか強い痛みに対し鎮痛作用のある鍼通電療法を実施。鍼通電療法1回実施後痛みの強さに変化はないが夜間痛みで目が覚めずぐっすり眠れるようになった。3回実施後9/10、4回治療後には指がかろうじて入る程度だった脇の下が、45度程度まで上がるようになった。6回実施後に痛みは7/10となりました。その後可動域改善に向けてさらに6回の治療を行い、日常生活で困難だったずぼんをあげる動作や、全く動かなかった肩が、髪の毛をとかせるまで可動域は改善しました。
<治療内容>標治:鎮痛効果を目的とし1寸3番を用い肩関節周囲の痛みの起こっている筋,関節部に鎮痛効果のある2Hzの連続波にて鍼通電療法13分。可動域改善を目的とし小円筋、棘上筋、棘下筋、三角筋、大胸筋に20〜30Hzと2Hzのミックス波にて鍼通電療法を10分。本治:1寸1番にて太衝、後渓、陽谷、合谷、手三里の1〜2穴に置鍼。
主訴
テニス肘 50代女性
治療
12年前、右肘に痛みが出たため整形外科を受診しテニス肘と診断。その後治療を10年の間実施された後、当院を来院。患者様は右肘に軽く触れるだけでも過剰に痛みを訴え、痛みを10段階評価で10を最大の痛みとし、来院当初10/10。ひとは長期間痛みがあると痛みや刺激を受け取る感覚が過敏に働くようになり、少しの触刺激でも過度な痛みとして感じてしまう「閾値の低下」というのが起こります。日常動作では肘の痛みで雑巾が絞れない、コップが持てない、などの症状。その他手足の過剰な発汗やのぼせ、ほてりなどもあったため、鍼灸治療ではまず自律神経を整え正常な痛みの感覚を取り戻すよう治療を実施。ご自宅でも治療を行なった同じツボに毎日灸を行っていただきました。頻度は5回間隔で来院。2回目からは自律神経を整えるツボのほか首から肩のこりが強かったため、痛みのある局所と首肩に血流循環改善のため、鍼通電療法を実施。 3回目には当初10/10あった痛みが6/10。6回目には4/10。8回目2/10、10回目には肘の痛みは全く気にならなくなり、日常生活が問題なく送れるようになりました。
<治療内容>標治:1寸3番を用いデルマトームに沿ってC6挟脊、肩井、曲池or手三里、合谷に2Hz連続波で13分鍼通電療法。本治:1寸1番にて太衝、三陰交、足三里の1〜2穴に置鍼。
主訴
打撲 90代女性
治療
庭で転倒し右手を打撲。すぐに医療機関を受診し1週間消毒と内服の治療経過後に当院を来院されました。年齢とともに治癒力のスピードは遅くなります。患者様は「打撲から1週間たっても全く腫れと痛みが引かず、箸を持てないし、右手だから不自由している」とのことでした。痛みを10段階で10を最大の痛みとし、来院時は7/10。内服の痛み止めが効かない、とのこと。鍼灸治療は打撲にもとても有効です。内出血は衝撃によって血管が損傷しそこから漏れ出た不要な血です。それが吸収されないことでダメージを受けた組織を新しく作り替えるスペースもないため治癒作業に時間がかかってしまいます。新しい組織を作り替えることができなければ傷ついた血管も修復が遅れるため、傷がなかなか治らないという状態になります。しかし灸は腫れを取って内出血の吸収を早め、鍼は組織の修復、回復など治癒力を促進させる効果があります。治療では腫れと内出血の部位に何度も灸を行い、また治癒力を促進するツボに鍼を行いました。2回目は2日後に来院。治療後痛みは3/10に減り腫れも取れてきたため日常生活の不便さが軽減した、とのこと。内出血はかなり減少していましたがまだ腫れが残っていたため初日と同様の治療を実施。3回目は5日後来院。腫れも引き、傷跡はかさぶたになり治癒が進んでいる様子が伺えました。痛みは全くなく0/10。日常生活は問題なく送れるようになったとのことでした。年齢の経過とともに治癒には時間を要していきます。鍼灸治療を実施したことで明らかに治癒が早まったことが実証された事例となりました。<治療内容>標治:内出血と腫れのある部位に透熱灸(8分灸)を1箇所につき3-5壮。本治:1寸1番にて足三里、曲池、外関、太渓のいずれか2穴に置鍼。

主訴
ねんざ 10代女性
治療
部活動で右足首を強くひねり、腫れと痛みで整形外科を受診し、受傷7日後に当院を来院されました。患者様は痛みで足をつくことができずケンケンをしての来院。捻挫は程度にもより治癒の期間は異なりますが患者様は前距腓靭帯を損傷しており全治2ヶ月は要する状態でした。捻挫は軽度であれば自然に治癒するケースもありますが状態によっては適切な治療を行わないと靭帯がゆるんだ状態が続き、足の関節が慢性的にふらついた状態になり足首の痛みが残ったり、捻挫を頻繁に起こすこともあるため早期治療をおすすめします。痛みを10段階評価で10を最大の痛みとし、来院当初9-10/10。腫れは「はじめよりは引いた」とのことでしたが、熱感が強く腫れもありました。足首を捻挫したきっかけは同側の膝と大腿にもともと痛みがあり、それをかばっていたことで足首を捻ってしまったとのこと。患者様は右大腿からふくらはぎの筋肉までが非常に固く冷えているのに対し、足首には熱感がある状態。足首を治癒するための神経や血管は大腿やふくらはぎを通ります。その途中の過程で血流が低下していることで、足首の治癒が進みにくくなります。東洋医学は治癒のために必要なエネルギー(気)や血、また老廃物や過剰な熱を回収する水の通り道を「経絡けいらく」をいいます。経絡がスムーズに流れていないと、末端の足首まで治癒が行き届きにくいため、足首だけを治療しても効果がなかなか発現されにくいことがあります。よって鍼灸治療では問題のある経絡に鍼をさし、治癒の促進作用を促すため鍼通電療法を行いました。またご自宅でも治療を行なったツボに印をつけ毎日灸を行っていただきました。頻度は週2回ペースで来院。治療直後から足がつけるようになり痛みは3-4/10、6回目には歩行時の痛みは軽減され階段の降りる時にのみ痛みが起こる。受傷から1ヶ月後は階段でも痛みは出なくなり、足首をストレッチで伸ばした時のみ3/10の痛みが出る程度まで落ち着いたため、ふくらはぎの筋力強化を目的とした鍼通電療法を実施。足首の機能回復、安定性と筋肉の柔軟性を出しました。痛みも鍼灸治療は早期に痛みが改善されるだけでなく機能回復や予防にも有効に働きます。<治療内容>標治:1寸3番を用い大腿部から足背まで少陽胆経と陽明胃経の硬結部に刺鍼し鎮痛と治癒促進のため2Hz連続波で13分鍼通電療法。6回目は機能回復のため腓腹筋、後脛骨筋、腓骨筋、大腿四頭筋に対し筋力強化と筋血流促進の30Hzと2Hzのミックス波にて10分鍼通電療法。本治:1寸1番にて太渓、築賓、三陰交、丘墟、解渓の1〜2穴に置鍼。

その他たくさんの症例がございます。
現在作成中につき随時更新いたします。


1)Harris R, Tian X, Williams D, Tian T, Cupps T,Petzke F, et al. Treatment of fibromyalgia with formula acupuncture: investigation of needle placement, needle stimulation, and treatment frequency. J Altern Complement Med.(2005)11: 663–71. doi: 10.1089/acm.2005.11.663
2)砂川正隆「鍼通電療法の基礎的研究、最近の進捗
」『日本東洋医学系物理療法学会誌』 第 42 巻 2 号
3)徳竹忠司「鍼通電療法筋パルス・椎間関節部パルスの応用」『日本東洋医学系物理療法学会誌』 第 43 巻 2 号    
4)篠原昭二(1984) 「膝痛の診察と評価 (その1)」『全日本鍼灸学会雑誌』 34 巻 2 号 p.127-132 
5)篠原昭二「伝統鍼灸医療における痛みの捉え方とその研究」『明治国際医療大学誌』 8号 P54
6)橋本多聞(2018)「簡単・即効の等尺性運動療法 」『痛みに効果経筋体操』

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